高校時代の先生との出会いが
大きな転機となりました。
担当教科/書道 酒井 美侑 教諭

浜松学芸高校に在学中、どんな3年間を過ごしましたか?
高校1~2年生の間は生徒会活動に取り組んでいました。最初は人前に出ることが得意ではありませんでしたが、行事の運営を通して他コースのさまざまな生徒と関わる機会が増え、徐々に自分に自信がついてきました。一人ひとりがキラキラした個性を持っていて、時には自分と異なる価値観に戸惑うこともありましたが、意見をすり合わせて一つのものを創り上げる経験は、書道と向き合う時間とは異なる学びがありました。また、ポスター作成などで書道を活かす場面が何度もあり、「自分の得意なことが役に立つんだ」と実感できたことは、社会への貢献意識の芽生えにもつながりました。
当時を振り返って、特に思い出に残っているのはどんなことですか?
高校生活では、特に先生との出会いが大きな転機となりました。大学受験の時期、技術的な指導はもちろん、日常の些細な会話まで気にかけてくださった担当の先生のおかげで、不安な気持ちを抱えながらも最後までやりきることができました。心が折れそうなときも、信じて寄り添ってくださる先生の存在があったからこそ、自分の力を信じて前に進めたのだと思います。今振り返ると、あの時間が「挑戦する姿勢」と「人との信頼関係の築き方」を教えてくれたように思います。先生の支えを受けながら努力を続けた日々は、今でも私の原点です。
教師という仕事を選んだ理由を教えてください。
高校時代、自分の不安や悩みに寄り添ってくれる先生がいてくれたことが、私にとって大きな支えでした。「いつか自分も、そんな存在になれたら」─その思いが、教師という仕事を志すきっかけになりました。
母校で働くことを決めたのはどうしてですか?
母校で働こうと決めたのは、自分が学び、育ててもらったこの場所で、今度は誰かの背中を押す立場になりたいと感じたからです。卒業生という立場から、自分の経験を活かして生徒に還元できる一方で、学校や生徒の変化に触れながら、自らも日々学び直し、成長していける環境があることに魅力を感じています。教えることは、同時に自分が学び続けることでもあると実感しています。
書道を指導する上で特に意識しているのはどのようなことですか?
書道というと「字をうまく書くこと」が目的と思われがちですが、それだけではありません。私は「書を通して、自分自身と深く向き合うこと」を大切にしています。授業では、たとえば「今日はどんな気持ちで書くか」「この作品にはどんな意味を込めたいか」と問いかけ、自分の内面を意識して筆を運ぶよう導いています。そうすることで、自然と集中力や粘り強さ、自己認識も養われていきます。小さな変化に気づき、挑戦を続ける姿勢が自信や感性の豊かさにつながると信じて、生徒と一緒に成長できる授業を目指しています。
書道を通してどんな力を身につけてほしいですか? また、将来にどう活かしてほしいですか?
書道を通して育まれるのは、集中力や表現力、そして継続する力です。しかしそれ以上に、自分の感じたことをどう捉え、どう表現するかという柔軟な思考力や視点を育ててほしいと考えています。たとえば、一枚の紙と筆を前にしたとき、何を感じ、どのように手を動かすかは一人ひとり異なります。その違いを受け入れ、自分の言葉で意味づけをし、表現していくことが、社会の中で多様な人と関わる力にもつながるはずです。自分の感性や考えを大切にしながら、他者と向き合い、社会に関わっていく-そんな力を育んでほしいです。そしてそれが、どんな進路を選んでも役立つ“生きる力”になると信じています。
浜松学芸高校にはどんな魅力があると思いますか? 入学を検討している人に向けてメッセージをお願いします。
浜松学芸高校は、「やってみたい」という気持ちを温かく受け止め、応援してくれる風土がある学校です。私が在学していた頃も、先生方や仲間に背中を押されながら、挑戦を重ねる日々を送っていました。今も変わらず、個性を大切にする雰囲気の中で、さまざまな「好き」が集まり、豊かな化学反応が生まれています。学業面・生活面ともに、いつでもウェルカムな空気感があるため、安心して学べるサポート体制も整っています。これから入学する皆さんにも、好きなことに夢中になり、自分らしさを見つけていってほしいと思います。きっとここで、新しい自分に出会えるはずです。