卒業生の声

カワサキモータース株式会社

小林 遥伽さん(2018年度卒業)

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静岡文化芸術大学デザイン学部デザイン学科匠領域卒業、静岡文化芸術大学大学院デザイン研究科修了。現在はカワサキモータース株式会社事業戦略本部デザイン部で、CMFデザイナーを務める。

柔軟な発想を養い、伝える力を培った高校での経験が、現在の仕事に役立っています。

高校時代に特に力を入れたのはどのようなことですか?
素敵だと思った表現を積極的に取り入れ、自分の表現に活かそうと工夫したことです。美術展に足を運ぶ機会が多く、「この筆のタッチが面白い」「この色の組み合わせが斬新だ」と感じた作品を撮影し、インターネットを見て気になった作品も印刷するなど、多くの作品をファイルにまとめていました。そのファイルを見返すと、似た傾向の表現が集まり、自分の好みや表現の特徴を整理する良いきっかけになりました。その過程で新しい技法に挑戦することの楽しさを知り、挑戦を重ねるうちに小さなキャンバスでは物足りなくなっていきました。最終的には脚立を使って制作するほどの大きなキャンバスにも挑戦することになり、一人では運べないサイズだったためクラスメイトに手伝ってもらうこともありました。技法だけでなく、筋肉まで鍛えられたことは良い思い出です。
高校生活を振り返って、特に思い出に残っていることを教えてください。
公募展の表彰式で他校の生徒から、「あなたの作品のファンです」と声をかけてもらったことがありました。自分の作品が誰かの心に届いていたことへの驚きと喜びは今でも鮮明に覚えています。
ある時期、朝活に取り組んでいて、普段より早く登校して校内の草木を観察して描いていました。先生も参加してくださり、黒いボードに白い鉛筆で描くという、普段とは異なる方法で陰影をとらえることにも挑戦しました。友人や先生と並んで黙々と描き続けたあの時間は、自分だけの「ヒカル表現」を探る大切なひとときでした。そうした日々の積み重ねを先生やクラスメイトと共有できたからこそ、公募展であのような言葉をいただけたと感じています。
卒業生の目から見た浜松学芸高校の魅力をご紹介ください。
地域の方々とつながりながら学べる環境が整っていることが、学芸の魅力だと思います。地元企業から依頼を受けて取り組んだ箒カバーや美容院の看板デザイン、廃校となった施設の壁を彩るワークショップなど、さまざまなプロジェクトに携わる機会がありました。デザインを手がける際には、依頼者の思いや背景に触れ、「デザインでどのように寄り添えるか」を考える貴重な経験ができました。
また、美術以外の活動として、手話通訳や保育園での職業体験、浜松シティマラソンのボランティアなど、多種多様な活動にも参加させていただきました。これらの地域活動を通して、地域の方々とのつながりはもちろん、校内での先輩・後輩の交流も深まりました。学芸は、学校内外問わず、多くのご縁に恵まれる学校だと思います。
現在のお仕事を教えてください。どのようなやりがい、手応えを感じていますか?
私は現在、KawasakiでCMFデザイナーを務めています。
CMFデザインとは、色(Color)、素材(Material)、仕上げ(Finish)を通じて、製品の質感や世界観をつくり出すことです。たとえば、Kawasakiを知らない方でも、ライムグリーンを見ればKawasakiが連想されるように、ブランドイメージを視覚的に形づくる役割を担っています。CMFデザインでは、自分の表現したいイメージに近づけるために、色・素材・仕上げを丁寧に組み合わせていきます。同じ色でも国や文化が異なればまったく違う印象を与えることもあり、グローバル視点で検討する時間は常に新しい発見の連続です。こうした奥深さが、CMF業務の大きな魅力だと感じています。また、バイクは車と違い、多くのパーツがむき出しになっているため、細部に至るまで自分のデザインが人々の目に触れます。自分が手掛けたCMFデザインが、そのままライダーの思い出や体験の一部になることに、大きなやりがいを感じています。デザインを通じて、バイクを愛する多くの人の笑顔と豊かな時間を生み出していきたいです。
高校時代に学んだことが、現在どのような形で役立っていますか?
素材への柔軟な発想と伝える力が、CMFデザイン検討の際に役立っていると感じています。私は高校時代に「どんなものも画材になり得る」ということを学び、砂利やティッシュなど、本来は画材とは言えない変わったものを絵の具と混ぜて作品を描くなど、多様な実験的表現に挑戦しました。その中で「この組み合わせでどんな表現が生まれるのだろう」とワクワクしながら想像することで培った力が、現在、頭の中でさまざまな色や素材を組み合わせてCMFデザインを構想する際に役立っています。
また、デザイン以外の面では、高校時代に「人に伝える力」を培えたことも今の仕事につながっています。CMFデザインの業務では、美術を専門としない方々に対してもデザインの魅力や意図を伝える必要があります。高校時代に作品の制作意図を先生方や友人、展覧会の来場者に繰り返し言葉で説明する中で、表現したいことを自分の言葉で伝える力が自然と鍛えられました。これらの経験は今の仕事に直結しており、CMFデザイナーとしてのデザインの根幹になっています。

ツインギャラリー蔵

空閑 美帆さん(2010年度卒業)

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多摩美術大学大学院 絵画専攻
版画研究領域修了

高校時代の友人との会話が、美大に進むきっかけになりました。

高校時代に特に力を入れたのはどのようなことですか?
特に力を入れたのは、デッサンです。私は当初、デッサンが苦手だったので、毎日早朝7時前に登校し、デッサンを練習しました。思うように上達しませんでしたが(笑)、誰もいない美術室の匂いが好きで、そこであれこれ考える時間が心地よく、自分のベストポジションだと感じていました。
苦手なことを克服することも大切ですが、自分にとって心地よい場所を探すこともとても大切だと思います。心地よさを感じられる場所を見つけることが、自分の得意なことを見つけるきっかけになると思います。
高校生活全体を振り返って、思い出に残っていることを教えてください。
高校2年の時、静岡県立美術館で教育普及の一環として募集していた屏風絵のギャラリートーカーに、クラスメイト数人と参加しました。美術館の心臓部にあたる収蔵庫に入った時の静かな興奮と、学芸員さんの解説を手本にして作品を解説した時の緊張と楽しさは、今も印象に残っています。
また、帰りの電車で友人たちと何気なく進路について話していた時、一人が「美大に行く」と宣言する姿に感化されたことも記憶に残っています。私は当時、専門学校で服飾の勉強をするか美大に行こうか悩んでいましたが、美大に行こうと思えるきっかけになりました。その時の光景は、夕日が沈む車窓風景とともに、今も脳裏に鮮明に焼き付いています。
卒業生の方の目から見た浜松学芸高校の魅力をご紹介ください。
好きなことに取り組む生徒を全力で応援してくれる学校です。高校卒業後の進路を考える時、「自分は何がしたいんだろう」「自分の好きなことって何だろう」と思い悩むこともあると思いますが、浜松学芸高校は校外での活動にも積極的に取り組んでおり、進路実現に至る選択肢を広げてくれる学校だと思います。
また、美術・書道を学ぶ生徒はみんな、高校進学時に「自分の好きなこと」を考えた上で高校に入学しています。自分や他人の「好き」を損なうことなく、個性的なメンバーがお互いを尊重し合える環境だと思います。
現在のお仕事の内容を教えてください。どのようなやりがいや手応えを感じていますか?
レンタルスペース兼企画ギャラリーで、広報物のデザインや展覧会の企画をしています。レンタルの際は、主催の方の相談に乗ったり、場合によってはアドバイスをすることもあります。企画展の際は、企画書の作成、作家の選定、必要に応じて助成金や後援申請などを行います。また、作家の思いが伝わるよう動線を意識した展示構成を考え、説明文や展示什器の製作を行い、多くの人が足を運んでくれるよう関連イベントを企画し、プレスリリースをして……と、展示に関わるさまざまな仕事をしています。
来場者の方と交わす会話や、関わってくれた作家さんやイベント関係者からのリアクションが好意的な時は「やってよかった」という満足感があります。それと同時に、次の企画展のハードルが上がった気がして、「もっと頑張らないといけないな」と自分を鼓舞しています。
高校時代の経験が、現在の仕事にどのような形で役立っていますか?
高校の文化祭で私はファッションショーの責任者を務め、書道のパフォーマンスを取り入れました。ショー自体は成功したかもしれませんが、個人的にはうまくいかないことが多く、「自分は企画者に向いていない」と感じ、挫折感を味わいました。しかし、その時の挫折があったからこそ、今の仕事では失敗があっても何かを学び、さまざまな場面に活かすことができていると感じます。
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